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園便り

~えっ~、何ですか、それは?~

2020年07月21日 いつかいち(分園)からの園便り

日本は四方八方を海に囲まれ、北海道から九州までの4つの大きな島の列島から成り立っています。ですから、日本にとって古代より稲作以前は海の恵みは欠かせないものでした。その後の海外との文化交流や交易は海を介して行われ、ある時期は海外との障壁としても効果を発揮してくれる、何とも心強い味方として存在してくれているのが海と言えます。一方で、台風などでは自然災害を受けやすいこともありますが・・・日本人として切っても切り離せない、そんな存在の海に感謝しようと新たに制定された「海の日※①」。今回は、そんな海の恵みに改めてフォーカスし、お魚を使ったクッキング教室の様子をお伝えします。
※①・・・(個人的なことで恐縮ですが・・・)遠い昔に外航船の船長を目指した身(自称”Captain ◯◯”としていい気分に浸っていたのは今は昔・・・最終的には視力低下で断念)としては親近感を覚える次第です。
 
依然、収束の見えない感染症拡大防止対策も兼ねた(こどもたちが直接、手で触れることは避けた)クッキング教室ながらお魚の3枚おろしの実演の鑑賞で食材に興味関心を持ってもらおうと企画しました。とはいえ、お家ではめったにお目にかかることのなくなった魚のさばきなので、まずは こどもたちにも理解しやすいようなイラストで説明することからスタートしました。
 
ご覧のように、”まな板の鯉”ならぬ”鯵”の登場に、こどもたちはいよいよ始まる解体(?)ショーにワクワク・ドキドキで胸が高まるばかりのよう。まずは、尾びれ近くにある鯵特有のとげ状のうろこの一種、せいごを包丁でシュッ、シュとそぎ落としていきます。その後は、何の前触れのなく行われた頭落とし・・・これにはあまりの突然の出来事にこどもたちも、保育スタッフもただただ呆然とするばかりでした。
 
その後に続く作業は、内臓を取り出し、お腹の中を綺麗に水洗いし、背骨に沿って包丁を入れて3枚おろしの完成となります。次から次へと展開される魚のさばきは こどもたちにどんな風に映ったのでしょうか?最近、魚のさばきを目にすることは稀ですし、店の陳列棚にあるのは(そんなことを経てできたものだとは想像もできない程に整えられた)切り身のみなので、きっと驚きの連続だったのではないかと想像に難くありません。
 
こうして鯵の3枚おろしを見学し、出来上がった切り身や(それと別に解体された頭や背骨に内蔵といった)哀れみをそれぞれ観察することにしました。まずは、0&1歳の低月齢児からスタート。当然のことながら後者へはみんな、顔をそむけがちで、目を向けたとしてもしっかりとはできません。一方、切り身はというと普段目にしているものなのであっけらかんとした感じですが、中には解体ショーのことを思い出したのでしょうか、避けるようなポーズを取る子も見られました。
 
一方、2歳児たちは、残酷なまでの解体ショーは別にし、改めてお魚の様子をまじまじと観察する様子が窺われました。最後に、数字のお勉強とばかりにお約束の「お魚は全部でいくつになったぁ~?」と尋ねると、みんなは「いっち、にぃ~、さぁん~」ときっちり、ばっちりと応えることが出来ました。こうして普段あまり目にすることのない魚のおろしを終え、給食スタッフが「今日は、この鯵が給食だからねぇ~。楽しみにしておいてねぇ~」と締めの言葉で今回のクッキング教室は幕を閉じることになりました。
 
今回の食材の鯵は、”梅紫蘇チーズの調味料を加えて、焼き上げた料理となって、みんなに提供されました。江戸時代の政治家・新井白石は「鯵とは味なり、その味の美をいうなり」と賞賛したそうです。そのさっぱりとした口あたりとおいしさは、夏バテを解消する食材の味として格別で、さらに 今回は食欲減退気味の夏にキリっとすっきりした味付けに加え、濃厚なチーズでコクが加わり、こどもたちの食欲をさらに増進させてくれ、大好評の結果でした。また、この解体ショーの副産物としてみんなに舞い降りてきたことが、いつもならお口の大きさに関係なく、無理やりにでも押し込んで食べていたのが、今回はフォークを器用に使い、切り分けて食べ始めることにつながったのは大きいと言えます。このクッキング教室では、食材への興味関心を高め、食べるきっかけづくりを主眼としていますが、このような食事マナーにも目を向け、今後は習慣化できるようにしていきたいと思います。


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